Mt.Fujiエコサイクリング:参加してきました。

富士山を120kmぐるりと1周するという壮大なコース、
"サイクリング"という名前からは想像が出来ない過酷な一日。
総距離120km、高低差600m、総登攀距離1200mというコース設定。
会社の同僚3名で参加してまいりました。

その全貌は以下で。

■スタート:山中湖

当日のスタート時点の気温は10℃、凍える寒さです。
土曜日が雨だったので空模様を心配していましたが、
当日は星が見えるほどに晴れ、空が明るくなるにつれ今回の主役である富士山がその姿を現しました。
8合目から山頂にかけて、投光機・登山客のヘッドランプの明かりで道が照らされ、
ご来光を狙うフラッシュが炊かれ、山がキラキラ光るのがスタート地点から見えました。
(私事ですが富士山でのガイド経験があるので懐かしかったです。)

6時から1分程度の間隔で20名程度が順次送り出されていきます。
我々のスタート時刻は06:45、すっかり冷え切った体を温めるべく、クルクルペダルをまわします。

■助走:山中湖〜道の駅なるさわ(24km)

大人数で、公道を塞がないまま開かれる大会だけに自転車渋滞を懸念していましたが、
意外なほどスムーズに山中湖沿いを進んでいきます。
一部舗装が削られた区間があったり、何度か信号渋滞を経験したりしましたが、いいペースで走れました。
体が温まりきっていないこともあり、途中のエイドステーションを飛ばして、一息に24km地点の道の駅を目指します。
途中、なるさわ道の駅までしばらく緩い登りが続きましたが、丁度体を温めるぐらいで登りはなんなくクリア。

休憩中に観光中の年配の女性に声をかけられ、富士山一周と参加人数におどろかれました。

■快走:道の駅なるさわ〜富士ハーネスエイドステーション(51km)

道の駅で地図を確認すると、富士ハーネスエイドステーションにて屋台が出ていることがわかり、
次の目標を27km先のエイドステーションに定めて出発。

この区間は大きな登りはなく実際に走ってみると、想像以上に景色がよく、
本栖湖を右手に下る道や、正面に富士山を眺めながら牧場の中を下る道など、今大会のベストルートでした。
快適なスピードで道を下っているうちに、あっという間にエイドステーションに到着。
富士ハーネスは、盲導犬育成施設で、おりこうそうな黒いレトリバーが撫で回してくる
サイクリストの相手をおとなしくしていて可愛かったです。

私は富士宮やきそばとコロッケで昼食。
ビール売ってるけど大丈夫か!的な部分はありましたが、300円で食事が取れて大満足。
値段が書いてなくてドキドキしながらの注文でしたが、飛ぶように売れていました。

■奔走:富士ハーネスエイドステーション〜さくらの園エイドステーション(63km)

高低表を見ると、ここらで徐々に登りが増えてくるので、
足に疲労をためないように、小まめな休息を取る作戦に変更し、エイドステーションをつなぎます。
林の中の登り道はつらいものの、まだまだついていける、高ケイデンスで足を回し続けます。
さくらの園エイドステーションは、道から300mほど外れた場所にあり、しかも登り。
休憩を取ろうと頑張って足を消耗…。

エイドステーションで配っていたクエン酸飴でちょっと回復しました。
次の登りが戦いの始まりだと判っているので、気を引き締めてスタート。

■力走:さくらの園エイドステーション〜こどもの国エイドステーション(79km)

いよいよ登りの開始です、こどもの国まではただひたすら登りかと思っていましたが、
細かなアップダウンや急傾斜が混じり、徐々に体力を削られます。
大会オフィシャルの方も、ここが一番苦しいと太鼓判、道のそこここには自転車を降りて押している姿もちらほら。
果ては道の脇で大の字になって仮眠をとっている姿も。
こどもの国の看板が残りの距離を伝える中、ひたすらペダルを回し、なんとかこどもの国駐車場に入れました。
今まで坂道をクルクル回して走っていたので、駐車場で足を止めて走れるのは気持ちがいいです、
エイドステーションでバナナと水、チョコレートの補給を終え少し回復。

気持ち良さそうに、ガチャピンのTシャツを着た方が昼寝しているのがかわいかったです。
ヘルメットを顔に載せて寝ていたので日焼け痕が心配ですが。

■疾走:こどもの国エイドステーション〜山崎精肉店(90km)

こどもの国から、しばらくの登りがあり、一気に御殿場に向けて下っていきます。
この下りは一部路面が荒れており、飛び跳ねるハンドルを必死に押さえ込み、
路面に全神経を集中して自転車を操ります、文字通り痛い思いをしているので慎重に下りました。

ようやく斜度のゆるい下りに入り、快走していたところ、なにか呼びかけている方が。
「700cのチューブ持ってませんかー」
通り過ぎる瞬間に聞き取れ、でも40km近く出ているので、ごめんなさい、止まると落車しそうでした。
今回の大会はオフィシャル(運営者)のサポートが手厚く、
パンクやメカトラブルに見舞われた人には、ほぼ必ずサポートが駆けつけて修理を手伝ってくれていました。

平原を抜けていくと、街中に入り、大会地図に記載された肉屋さんに到着しました。
ここはほぼエイドステーションと言ってもいいほど人が集まり、コロッケやカツなどを楽しんでいました。
油物をさらに体に入れていいか悩む間もなく、本日2度目のコロッケ満喫…。
お手洗いなども貸していただき、自転車でまた通ったら寄りたいお店です。

■激走:山崎精肉店〜さくら公園エイドステーション〜須走エイドステーション(103km)

いよいよ、今回の本番のスタート、
正直に言うと、ペダルをひたすら回してガマンガマンの記憶しかないです。
徐々にこどもの国での上りの疲労が足に出始め、押して歩きたい気持ちでいっぱい。
でも一度挫けるとなし崩しになりそうなので、ひたすら足をまわしていきます。
エイドステーションでバナナを補給し、じりじりと高度を上げていきます。

途中で原チャに乗った地元の若い方に声をかけられ、
大会趣旨を説明したところ、またも呆れられて、応援していただきました。
当たり前ですが、原チャはあっという間に坂を上って視界から消えました。

■奮走:須走エイドステーション〜籠坂峠(108km)

既に全てを出し尽くしている感がありましたが、ついに最後の上り坂、籠坂峠越えです。
大会オフィシャルの高低差を見ると、100mも登れば終わりそう。
自作の高低差を見ると、250m以上は登る…。
システム屋さんとしては、最悪の事態250mを覚悟してゆっくりと足を回し始めました。
(正解でした…。きっと大会運営者が参加者の気持ちを折らないように気を使ってくれたのでしょう。)

このあたりから、既にゴールし撤収してきたとおぼしき自転車を積んだ車が下ってきます、
その余裕そうな表情に奮起しペダルに力をこめます、無駄な消耗ともいいますが…。

途中で2度の足付き休憩をしましたが、何とか前へ進み、
オフィシャルの方から借りたコールドスプレーで足を冷やし、
あと2曲がりで峠が見えると励ましていただきました。

なけなしの根性を振り絞ってペダルを回し、左・右とコーナーを曲がると、ついに籠坂峠。
ここで休憩中の参加者は皆笑顔でした。

しばし満足感に浸った後、一服し、自転車を前に押し出してゴールに向かいました。

■ゴール:山中湖(115km)

今までの疲労が嘘のように(下っているだけなので当たり前ですが)気持ちよく下り、
目の前には山中湖が広がり、朝の出発からずいぶん旅してきたものです。
自然と口元が緩みますが、ここで転んでは台無しなのでブレーキを絞り気味でコーナーを曲がります。

山中湖沿いに入ると、オフィシャルから「あと3kmがんばれ!」の声が。
ゴールが近づくにつれ、話しながら走られる方、写真を撮る方、ゆっくり味わうように走る方、
最後に残った力を振り絞って激走する方、この日最後の"サイクリング"を楽しんでいました。

思ったより長い道を走りきると、ゴール地点で大勢のオフィシャルの方が手を振って応援してくれています。

そしてついに、15:00過ぎに無事に3名ともゴールし、完走証を手に。

正直、事前に想像していた以上の厳しい大会でしたが、
久々に自転車で旅する楽しさを味わえた気がします。

大会を支えてくれた運営者の方々、
一緒に走ってくれた同僚の皆様、
応援してくれた全ての方々に感謝。